生産現場の自動制御に欠かせない「リレー」。しかし、「なぜかPLCの出力ユニットがすぐ壊れる」「パルスカウントの値がずれる」といった原因不明のトラブルに悩まされていませんか? その原因、もしかすると「コイルサージ対策」の不足かもしれません。
1. そもそも「コイルサージ」とは何か?
なぜ、リレーをオフにするだけで機器が故障するのでしょうか?深掘りしてみましょう。
- 現象: リレーをオフにした瞬間、PLC(シーケンサ)の出力端子が壊れる、また周辺機器が誤動作する。
- なぜ①: リレーのコイルから数千ボルトの大きな電圧(逆起電力)が発生するから。
- なぜ②: コイルには「電流の変化を妨げようとする性質(自己誘導作用)」があるから。
- なぜ③: 電流を遮断した瞬間、溜まっていた磁界エネルギーが一気に高電圧となって放出されるから。
これをコイルサージ(サージ電圧)と呼びます。対策をしないと、この電撃が逆流し、高価なPLCや周辺の電子部品を直撃します。
2. 対策を怠った時の「現場の3大リスク」
- 接点の消耗・溶着: スイッチングのたびに火花(アーク)が飛び、リレー自体の寿命が短くなります。
- 電子部品の破壊: PLCの出力ユニットやトランジスタが過電圧に耐えられず、パンクします。
- ノイズによる誤動作: サージが強力な電磁ノイズを発生させ、「チョコ停」を誘発します。
3. 【実践アクション】現場で導入すべき3つのサージキラー
現場の状況に合わせて、以下の対策を必ず実施してください。
// 回路に合わせたサージ対策の選定
1. ダイオード方式 (DC回路専用)
- サージをほぼ完璧に抑えるが、戻り時間が少し遅れる。
2. バリスタ方式 (AC/DC共用)
- 応答が速く保護能力が高いが、寿命がある。
3. CR方式 (AC/DC共用)
- コンデンサと抵抗を組合せ。接点保護に強い。
4. 今日からできる「生産技術者のチェックリスト」
「電気の5S」の精神で確認しましょう。
- 【整理・整頓】 PLCから出力しているリレーは「サージ吸収内蔵型(型番末尾-Dなど)」か?
- 【清掃・点検】 古い設備のリレーソケット周りに黒い粉(スス)がついていないか?
- 【習慣化】 新規回路では「誘導負荷には必ずサージキラーを付ける」をルール化しているか?
💡 若手へのアドバイス:誘導負荷とは
モーターやリレーのコイルのように、内部に巻線(コイル)を持っている部品のこと。電気を流すと磁力を発生させるため、今回の「サージ」を引き起こす張本人となります。
リレーのサージ対策は、目に見えない「電気の暴走」を食い止める防波堤です。地味なパーツですが、これを徹底するだけで設備の信頼性は劇的に向上します。